(その五)真の都の証明

10年ぶりに舞踊劇が上演されることになった今年の「鴨川をどり」で、真の日本の都は京都であることを全国に知らしめる。
否、全世界に知らしめる。
『うちは、「鴨川踊り」のために帰ってきたんや!』
恵美子は自分の真の使命が漠然とだが見えてきた。
現に、明治天皇は江戸へ行幸しただけで、都を京から江戸に遷都した勅命を発布していない。
何故、明治天皇は遷都の勅命を発布しなかったのか。
日本の天皇であることを立証する唯一の証が「三種の神器」である。
「三種の神器」とは、皇位の標識として歴代の天皇が受け継いできたという三つの宝物のことで、天叢雲剣(アマノムラクモノツルギ)、八咫鏡(ヤタノカガミ)、八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)であり、天叢雲剣(アマノムラクモノツルギ)は名古屋の熱田神宮に保管され、八咫鏡(ヤタノカガミ)、八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は伊勢神宮に安置されていると言われているが、明治天皇以降の歴代天皇、すなわち、大正天皇、昭和天皇、平成天皇は伊勢神宮に安置されているはずの「三種の神器」を見たこともないのである。
「三種の神器」を手にするどころか、見たこともない天皇が勅命を出せるわけがない。
今年の「鴨川をどり」で10年ぶりに上演されることになった舞踊劇の演題が「日本誕生」であり、主人公である倭建命(ヤマトタケルノミコト)を春若こと、畑恵美子が演ずるのである。
倭建命(ヤマトタケルノミコト)は天叢雲剣(アマノムラクモノツルギ)こと草薙剣(クサナギノツルギ)で有名な古代日本の英雄である。
倭建命(ヤマトタケルノミコト)は草薙剣(クサナギノツルギ)で以って現在の九州熊本県にいた熊襲(クマソ)を退治した話だ。
須佐乃男命(スサノオノミコト)が出雲で退治した八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の体の中から出てきたのが、天叢雲剣(アマノムラクモノツルギ)である。
恵美子が演ずる倭建命(ヤマトタケルノミコト)が持つ草薙剣(クサナギノツルギ)が本物の草薙剣(クサナギノツルギ)であるらしい。
真の都は依然京都であることを、「三種の神器」で証明しようというわけである。