(その五)人類黎明期の罠(1)

鹿ヶ谷哲夫のその後の話は、恵美子に新しい考え方を与えた。
支配者である証を捏造するのが、人間社会だけにある特徴であることを、人類の黎明期に気づいた二つの民族がいた。
地球が二つの中心を持つ楕円球であることから、二つの臍の位置に住する民族がそうである。
「日出る国(Açu)」アジアの臍に当たる日本。
Açuはアジア(Asia)の語源になった紀元前13世紀の頃のフェニキア語だ。
「日沈む国(Ereb)」ヨーロッパの臍に当たるイスラエル。
Erebはヨーロッパ(Europe)の語源になった紀元前13世紀の頃のフェニキア語だ。
この二つの臍に当たる国だけに、「三種の神器」なるものが、国の黎明期から存在した。
「日沈む国」ヨーロッパの臍に当たるイスラエルでの、支配者である証の「三種の神器」が、「モーゼの十戒の石板」、「アロンの杖」、「マナの壷」である。
「日出る国」アジアの臍に当たる日本での、支配者である証の「三種の神器」が、「草薙の剣」、「八咫鏡」、「八尺瓊勾玉」である。
この慣習を現在まで継承している民族は世界に二つしかなく、然も、国家として今尚踏襲している国は日本だけである。
相対性理論を構築したアルバート・アインシュタインが1922年(大正11年)に日本を訪れた。
東の京の慶応義塾大学では、自慢の相対性理論の講義をしたアインシュタインだが、京の都の京都大学では、哲学めいた講演をした。
京都大学哲学教授の西田畿太郎の要請に応えたからだ。
日本初のノーベル賞を受賞した湯川秀樹も京都大学の人間であり、薩摩藩の家紋を社章にしている会社は、機械メーカーであろうが、人形屋であろうが、島津の名を語り、鹿児島ではなく京都に本社を置く。
京都大学でアインシュタインが行った講演の中に衝撃的な言葉がある。
“世界の未来は進むだけ進み
其の間、幾度か争いは繰り返されて
最後の戦いに疲れる時がくる。
其の時、人類はまことの平和を求めて、
世界的な盟主を崇めねばならない。
この世界の盟主たるものは
武力や金力ではなく
あらゆる国の歴史を抜き越えた
最も古く、また、
最も尊い家柄でなくてはならない
世界の文化はアジアに始まって、
アジアに帰る。
それはアジアの高峰、
日本に立ち戻らねばならない。
われわれは神に感謝する。
われわれに
日本という
尊い国をつくっておいてくれたことを・・・”
「日出る国(Açu)」アジアの臍に当たる日本は、紀元前13世紀には、「日沈む国(Ereb)」ヨーロッパの臍に当たるイスラエルで認識されていたのである。
紀元前13世紀とは、まさに、モーゼの出エジプト記の直後であり、カナンの地にイスラエル国家を建設した時代である。