(その十七)人間の謎

倫子が15才の時に産んだ双子の子供は、極めて珍しい二卵性双生児の兄・弟だった。
しかも、5年後に出逢う畑正三と同じ姓を名乗らしていたのである。
偶然の所産なのか、意図的なものだったのか、5年後に気づいた倫子でさえ、その判定はできなかった。
二人の双子の名前は、亨と聡と名づけられ、更に、二人は3才違いの兄、弟として育てられた。
倫子と丸山一郎との間でまるで交通事故のように産まれた双子を、徹底的に隠すのが、その意図であったことは云うまでもないことだが、更には、深淵なる陰謀が隠されていたのだが、それを知る者は、祖父の軍造と藤堂高順だけで、自分の姓を与え、後年には、自分の息子として認知することを予定されていた当時者の畑正三すら、詳しいことは知らされていなかったのである。
双子の兄弟は、5年間、大原村で過ごしたが、5年間の記憶は完全に消失させられていた。
クローン動物を次から次と生み出していく現代科学者たちは、まさに、悪魔の化身と揶揄されているが、遥か昔からクローン人間を平気で造り出す民族がいた。
フランケンシュタインの物語は、創作ではなかったのである。
彼らは、人間の記憶を自由自在に制御できる技術を16世紀のヨーロッパで開発していた。
まさに、人類(mankind)から人間(human being)に進化した生きものは、次から次へと謎を積み上げていったのである。