(その十七)ライバルの母娘

恵美子と母、倫子の間には20年の年齢差がある。
20才の時に産んだ子なのだから、当然のことであるが、これが血肉を分けあった仲ではなければ、ただの20年の差だけだが、親子となると途轍もない、否、無限の差が生じる。
20才離れている恋人もいれば夫婦もいる。
彼らにはとっては、20年の差は0になっている。
ふたつの肉体が精神的な合一を渇望するのが恋愛であり、精神的な合一への渇望が年齢差を消滅させるのである。
親子の関係は、精神的な乖離の渇望現象に他ならない。
まさに、親子の間の潜在意識には、敵対心が潜んでいるのである。
顕在意識上では、ふたつの肉体が隔絶しているように、ふたつの意識として存在するが、潜在意識になると、その下に集合意識という、地球意識と繋がっているため、ふたつの肉体のような隔絶感はない。
つまり、潜在意識では、人間の想いはみんな繋がっているのだ。
恵美子と兄、聡の想いも、潜在意識下ではやはり繋がっているのだが、顕在意識では別々だと思い込んでいたから、聡が恵美子を求めたとき、ふたりの間には、強烈な顕在意識が作用した罪意識が支配していた。
だが、現実は皮肉なものだ。
想いを馳せていたことは現実化せず、想いを馳せていなかったことが現実化するのが、宇宙の摂理だ。