(その十六)相対円回帰

温泉療法で肉体を浄化した恵美子は、想いをも浄化することができ、この世の中とは、真実を覆い隠し続けてきた実に薄汚い人間社会であることに気づいたのだ。
断崖絶壁の山の峰を、まるでスローモーションビデオを観ているかのように、見事に降りてくる野性の鹿を見た瞬間(とき)、野性、つまり、自然の偉大さを実感すると共に、人間、つまり、人工の卑小さを思い知らされた。
無限の青い空を、まるでスローモーションビデオを観ているかのように、舞っている野性の鳥を観た瞬間(とき)、野性、つまり、自然の偉大さを実感すると共に、人間、つまり、人工の卑小さを思い知らされた。
文明社会に住んでいる人間は、自然の偉力を忘れてしまったらしい。
文明社会に住んでいる人間は、自然の威力を忘れてしまったらしい。
自然の偉力の前には、人間の文明など一溜りもない。
人間には、人間独自の成長サイクルがあり、寿命と深く関わりがあるらしい。
すべての生きものの寿命は、七の倍数で決まっている。
宇宙の法則が七の法則だからだ。
まさに、円回帰運動するための七の法則であり、オクターブの法則とも呼ばれ、音階(オクターブ)の法則である。
音階(オクターブ)の法則がなければ、円回帰運動は不可能だ。
倫子と娘の間で起こされた円回帰運動は21年周期だったわけで、三周の円回帰の中で、計9回の走性が個別の屈性として起こることによって、円回帰運動が達成されるわけだ。
当時の年齢は数え年で云う、つまり、倫子が十五才、恵美子が二十二才はまさに、七の法則が働いたからである。
満で云えば、十四才と二十一才となる。
十四才から二十一才の七年周期では、人間はロマンチシズムを過酷に経験し、二十一才から二十八才の七年周期で、人間は一生の伴侶と直観で出逢う。
倫子の過酷な経験の相手が円山一郎であり、恵美子の一生の伴侶こそが藤堂頼賢であった。