(その十三)辞世の歌の秘密

ヤマトタケルノミコトが伊吹山中の能煩野(のぼの)という地で息を引き取る前に、草薙剣を熱田神宮の美夜受媛(みやずひめ)に与えた。
ヤマトタケルノミコトの辞世の歌だ。

嬢女の 床の辺に 我が置きし つるぎの太刀 その太刀はや

“その太刀はや”は一体何を意味しているのか?

嬢女(おとめ)とは、熱田神宮の美夜受媛(みやずひめ)のことであり、ヤマトタケルノミコトが草薙の剣を美夜受媛(みやずひめ)に与えて、丸腰で伊吹山中に入った所為で命を落とした。
以来、草薙の剣は熱田神宮で保管されるようになったと伝えられている。
だが、その真偽のほどは、歴代の天皇ですら知らない。
“自分は伊勢神宮に安置されているという三種神器を一度も見たことがない”
昭和天皇が生前、言った言葉だ。
ところが、今年の「鴨川踊り」の舞踊劇「日本誕生」で恵美子がヤマトタケルノミコトを演じることが決定されたとき、榊原温泉の福沢綾子から草薙の剣が送られてきたのである。
今年の「鴨川踊り」の舞踊劇「日本誕生」で恵美子が演じたヤマトタケルノミコトは、第十二代景行天皇の二男であり、皇太子でもあったにも拘わらず、天皇にはなれず、弟の稚足彦(わかたらしひこ)が第十三代成努天皇となっているが、第十四代天皇には、兄のヤマトタケルノミコトの子供、足仲彦(たらしなかつひこ)、後の仲哀天皇を指名した。
一方、契約の聖櫃(アーク)で有名な三種の神器のひとつであるアロンの杖とは、モーゼの兄アロンからの由来である。
アロンとヤマトタケルノミコトは同一人物であったわけだ。
「古事記」では、熊襲や蝦夷平定の事蹟はヤマトタケルノミコトによるものと描かれているのに、「日本書紀」では、ヤマトタケルノミコトの父、景行天皇の業績とされている。
モーゼと景行天皇が同一人物であったからだ。
「日本誕生」の主人公、ヤマトタケルノミコトは、「イスラエル誕生」の主人公、モーゼではなく、モーゼの兄アロンであった。
アロンは、ヤーベの神から十戒の石版をシナイ山で賜っている最中にモーゼを裏切った。
表の歴史が真実なのか。
それなら、モーゼが「イスラエル誕生」の主人公であり、景行天皇が「日本誕生」の主人公である。
裏の歴史が真実なのか。
それなら、アロンが「イスラエル誕生」の主人公であり、ヤマトタケルノミコトが「日本誕生」の主人公である。
イスラエルと日本の誕生秘話がまるで逆さまだ。
イスラエルが表の世界であり、日本が裏の世界ということになる。
まさに、天津神の世界と、国津神の世界と符号する。
その鍵を握るのが、恵美子が「日本誕生」の最後に吟じる、ヤマトタケルノミコトの辞世の句だ。
嬢女の 床の辺に 我が置きし つるぎの太刀 その太刀はや
(美夜受媛の家に置いてきてしまった太刀よ、ああ、今それがあったなら!)