(その十三)“黄金の腕”

人生を強く生きてゆくには、“黄金の腕”が要る。
保元の乱で敗北方についた源為朝は“黄金の腕”を持っていたために、最後まで生き延びることができた。
保元の乱で勝利方についた源義朝は、“黄金の腕”を持っていなかったために、平治の乱で平清盛に殺された。
藤堂頼賢も源為朝と同じ“黄金の腕”を持っていた。
人生の中で窮地に陥った時に、その人間の器量の程度が表われ、そのとき、“黄金の腕”の本領が発揮される。
先天性癲癇症という持病は、普段の彼にとってはマイナス要因に働くが、人生の窮地に陥った際には、プラス要因に働いた。
発作が起きた時の特効薬は、順風満帆の人生の時は、薬の効き目が表に出、副作用は裏に潜んだままだが、窮地に陥った時には、副作用が表に出て、特効薬の効き目は裏に隠れる。
従って、薬を抜く絶好の機会は、窮地に陥った人生の時なのだ。
平凡な人間なら、窮地に陥った人生の中で、自分の命綱を断つことは到底出来ないのが人情だろう。
ところが、“黄金の腕”を持った人間なら、ここで強烈なバネの力を発揮することができるのである。
まさに、人生の中で窮地に陥った時に、その人間の器量の程度が表われ、そのとき、“黄金の腕”の本領が発揮される所以だ。