(その十三)逆発想の転換

フランキーの妻ザッシュは、自分の車椅子生活が仮装であったことがバレて自殺をした。
フランキーの恋人モーリイは、恋人の薬抜きに自らの命を投げ打った。
『男と女の愛情は、人間の友情を圧倒すると思っていたが、実は、逆さまだったんだ!』
『ましてや、夫婦になると、まるで化し合いだ!』
男と女の恋愛は長くても7年以上続けてはならない。
7年以上になれば、愛情から友情に変貌しなければ別れるしかない。
藤堂頼賢はまだ二十歳の年齢でありながら何かを掴んだ。
七歳で何かを掴んだ子供は、七十歳でも何も掴めていない老人よりも人間洞察力に優れている。
人間洞察力がある域に到達すると、死の理解に至って、死の恐怖から解放される。
持病である先天性癲癇症に悩まされ続けていたことに辟易としていた矢先だけに、腹を括り易くなっていたことも、彼を後押しする力になっていた。
チャンスはピンチの陰にあるのは圧倒的な真理なのだ。
逆に言えば、
ピンチはチャンスの陰にあることも圧倒的な真理なのである。
藤堂頼賢は持病の先天性癲癇症を逆手に取ったのだが、そこまで自分を追い詰めるためには、死を覚悟するしかない。
人間洞察力がある域に達していないと、到底無理な相談なのである。
彼は、発作が起きた時の特効薬を敢えて服用しない行動に出たのである。
“窮鼠猫を噛む”はまさに逆発想の転換に他ならない。