(その十三)女性社会の敵

恵美子は母親の倫子に賭けたギャンブルに負けた。
爾来、倫子を憎むようになった。
子供の頃に親から植えつけられたトラウマは子供の一生につきまとう。
特に、母親から娘に植えつけられたトラウマは娘の一生を破壊してしまう。
父親が自分の子供を洗脳する危険性は少ない。
なぜなら、子供への最初の躾は母親によって為されるからだ。
子供の成長過程の中に反抗期があるが、大半は母親への反抗だ。
息子の母親に対する反抗期は中学時代から始まり、高校時代には終わるのに、娘の母親に対する反抗期は一生続く。
息子は結婚することによって巣立つと親とは疎遠になるのに、娘と親は一生濃密な関係を続ける真の理由(わけ)は、一生つきまとう反抗期の裏返しなのである。
二十世紀の組織の時代から二十一世紀は個人の時代になって行く中で、5000年間続いた男性社会が壊滅して、女性社会が満を持していよいよ登場するが、時代の流れを阻止する要因が母親と娘の確執だ。
母親と娘の確執が身体に異常を来すと、必ず、娘は摂食障害になる。
摂食障害は、先ず、アメリカで発生し、日本へ伝染していった。
現代日本の若い女性の三割が摂食障害の予備隊だと言われていて、恵美子もその一人だった。
まさに、来るべき女性社会の最大の障害物なのである。