(その十一)坂本龍馬の暗殺

坂本龍馬が暗殺されたのは、京都、薩摩藩ご用達の醤油店主人、近江屋新助宅の母屋であった。
寺田屋を京都の常宿にしていた坂本龍馬が、なぜ、この夜だけ近江屋に身を寄せたのか謎である。
幕府見廻り組の連中によって殺害されたというのが定説だが、当時から巷間では、西郷隆盛によって刺客が送りこまれたと囁かれていた。
薩長連合の仲介役として東弄西走した最大の功労者である坂本龍馬を、薩摩の西郷がなぜ暗殺しなければならなかったのか。
巷間の囁きでは、坂本龍馬が薩長連合を画策したのは、欧米列強諸国の毒牙から日本を守るためには、何としても内紛を避け、無血革命を果たすためであったのに対して、徳川の天下から、薩摩の天下を目差す西郷にとって、無血革命を目差す坂本龍馬は邪魔な存在以外の何者でもなかったというものである。
だが、西郷の坂本龍馬暗殺の真の狙いは、そんな卑小なものではなかったのである。