(その十)明治維新の真意

人間社会の歴史は、領土の陣取り合戦と言える。
自然社会にも、領土の陣取り合戦はあるが、目的がまったく違う、というより、正反対だと言える。
飽くまでも、種の保存が目的の領土の陣取り合戦である自然社会は、本能的欲望に沿った行動であるのにたいして、余剰の観念から派生した蓄積という人工欲に沿った領土の陣取り合戦である人間社会は、オス社会を基本にした自尊心の保存にある。
明治維新などと大袈裟な表現をした背景には、オス社会を基本にした自尊心の保存欲が見え隠れする。
倫子と恵美子という二人の女性が、オス社会を基本にした自尊心の保存欲に振り回される女性の歴史が、裏に隠されている。
日本の近世の歴史の終焉という問題だけに留まらず、世界の近代の幕開けの一幕と捉えることは、まさに、人間社会の古今東西の問題だと言えるかもしれない。
明治維新という言葉が、日本革命と呼ばれず、明治革命とも呼ばれなかった理由を掘り起こすことでしか、日本という国の正体を観ることができないだろう。
明治維新が、“The Meiji Restoration”と西欧社会で呼ばれている所以がここにある。
フランス革命なら、“The France Revolution ”であり、ロシア革命なら、“The Russian Revolution”であるなら、“The Japanese Revolution”であるはずだ。