第二十九章 「金儲け」から「モノづくり」へ

十九世紀初頭では、中国が世界のGDP(国内総生産)の28%を占め、インドが18%と、人口の多さで圧倒する二国が、世界の経済をリードしていた。
二十世紀初頭に世界一の大国になったイギリスでさえ、十九世紀初頭では、2%しかなく、ドイツ、ロシア、フランスという啓蒙主義国家などは、高々、1%、現在の世界ナンバー1であるアメリカなどは、独立した直後で0%に近く、江戸時代の日本は鎖国といった状態だ。
たった200年の間に世界の勢力図は大きく変わった。
その引き金はなんといっても第二次産業革命である。
現在でも活躍している先端技術の基礎発明は、ほとんど19世紀に発明された技術であることを忘れてはならない。
イギリスが大英帝国の名を縦にした原動力は、まさに、第二次産業革命の中心にいたからだ。
そして、今ふたたび、世界の勢力図は大きく変わろうとしている。
アメリカや日本がソフトウェアー産業、つまり、金儲けに専念するために、ハードウェアー産業、つまり、モノづくりを中国やインドに押しつけたことで、200年前の大国、中国とインドが再び台頭しはじめるきっかけを与えたのである。
これは一体何を示唆しているだろうか?
「モノづくり」と「金儲け」の呼び戻し現象が起きているのである。
アメリカを筆頭に先進国が「金儲け」に腐心している間に、世界は、「金儲け」の流れから「モノづくり」の流れに変わってしまったのである。
これは極めて重要な示唆だ。
「金儲け」の流れは、当然、超格差社会をつくる。
超格差社会は、当然、圧倒的多数の貧乏に「金儲け」を嫌悪させる。
格差社会では、圧倒的多数の貧乏が「金儲け」を追いかけるのだが、超格差社会になると、逆に「金儲け」を嫌悪するようになるのは当然だ。
その結果、「金儲け」の流れから「モノづくり」の流れに世界は変わってしまうのである。
「金儲け」の流れから「モノづくり」の流れに、今変わろうとしているのである。
その前触れが、「2008年金融危機」に他ならない。