第二十一章 マネーゲームを可能にさせた怪物

デリバティブ(金融派生商品)という怪物を誕生させた張本人は、コンピュータの飛躍的進歩だ。
一台数十億円もしたスーパーコンピュータが、数千万円から数億円で手に入るようになった。
それまで、
専守防衛の目的でしか存在し得ない軍隊の最大の切り札である防衛力のスペードのエースがスーパーコンピュータだった。
核の破壊力が冷戦を生んだ結果、アメリカとソ連はお互いに敵方の対核ミサイル防衛システムを開発した。
スーパーコンピュータのお陰だ。
お金に糸目をつけない国家権力でしか可能にならないほどコスト高のスーパーコンピュータだから、民間企業ではコストパーフォーマンス上、手が出ない。
ところが、
コンピュータのハードウェアー、ソフトウェアーの飛躍的進歩でコストダウンされたスーパーコンピュータが世に出た。
まさに、
1980年初頭の話だ。
対核ミサイル防衛システムの最大の狙いが、敵方核ミサイルの軌道計算にあり、その為には、人間の手では数十年、数百年掛かる計算を数秒でしなければならない。
まさに、
天文学的技術計算を数秒で計算できるのがスーパーコンピュータだ。
そして、
軍事目的で開発されたスーパーコンピュータが、金儲け目的に利用された結果、デリバティブ(金融派生商品)というマネーゲームの怪物が誕生したのが1980年代初頭であった。
そして、
満を持して、
1985年9月22日のニューヨークのプラザホテルでG5(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、日本の蔵相会議)が開催されたのである。