第十章 毛沢東の再来

破竹の勢いで経済成長を遂げている現在の中国とは、建前と本音が極大に乖離した、共産党政権の統制の下での限定自由資本主義の国なのである。
こんな自己矛盾の状態が長続きするわけがなく、必ず、暴発するはずで、暴発の引金が超格差社会の出現であることは疑う余地もないだろう。
短時間で成長した国や企業は、必ず、負の遺産を内包しているものだ。
嘗ての韓国の財閥企業がその典型だ。
戦後の韓国が、明治維新以来百数十年の年月を掛けて育てあげていった、三菱、住友、三井といった日本の代表的財閥グループに匹敵するような、現代、三星、大宇という企業グループを、たった三十数年で築きあげることができた理由(わけ)に、中国が抱えている負の遺産を検証するヒントが隠されている。
戦後の韓国で、短時間にこのような巨大企業グループが誕生したのは、朴政権の時期からである。
韓国第五代朴大統領は、ベトナム戦争景気に乗じて、積極的な経済開発を展開した中で、日本の財閥グループをモデルにした巨大グループを誕生させた。
現代、三星、大宇といった新旧財閥であり、これらのグループの誕生は、まさに、国家権力という強力なバックアップがあったから可能になったのである。
こういった強引なやり方は反作用も大きい。
結局、大宇グループの総帥・金宇中、現代の鄭周永らは、韓国政府との癒着が表沙汰になり、表社会から消えていき、以前のままの栄光を誇っているのは三星グループだけである。
中国の急激な経済成長の陰には、現中国共産党政権との二人三脚がある点においては、戦後の韓国経済の発展と同類、若しくは、それ以上の水面下のしがらみがある。
そういった中での、超格差社会の出現は、蒋介石政権下で毛沢東による革命運動が起こった例と酷似している。
第二の毛沢東が登場するかもしれない。