第一章 長く暗いトンネルの出口は何時見えるか?

2008年9月15日。
この日はおそらく永く歴史に刻まれるであろう。
1929年10月24日にニューヨーク株式市場の株価が大暴落したことをきっかけに「1929年世界大恐慌」が発生した「暗黒の木曜日」であるように、大手投資会社リーマンブラザース社が経営破綻したのがきっかけで「2008年世界金融危機」が発生した日である。
「1929年世界大恐慌」はニューディール政策によって1936年に終結したように伝えられているが、実際には1939年に勃発した第二次世界大戦による軍需景気が波及する1941年まで恐慌前の経済には戻らなかった。
「1929年世界大恐慌」という悲劇は、まさに、第二次世界大戦という新たな悲劇に取って替わられただけだった。
ルーズベルト大統領の経済対策「ニューディール」では「1929年世界大恐慌」は解決しなかったのである。
悲劇は新しい悲劇を創出することでしか解決できなかった。
第二次世界大戦後の世界景気疲弊の解決は、東西冷戦のきっかけになった「朝鮮戦争」によって為されたように。
「2008年世界金融危機」も、どうやら、経済政策によって解決されるのではなく、新たな悲劇が発生することによって解決される可能性が高いことを示唆している。
「2008年世界金融危機」発生後、一年も待たずして、世界の主要国によって為された施策で経済は回復基調に入ったと喧伝されているが、「1929年世界大恐慌」が実質解決したのが12年後の1941年であったことを思えば、100年に一度の「2008年世界金融危機」が解決するのに一体どれほどの期間が要するのか、想像することさえ不可能に思われるのにである。
更に、悲劇は新しい悲劇によって取って替わられることを思えば、新しい悲劇の顔がまだ見えない現在、長くて暗いトンネルの出口の灯りが見えるのは、遥か先のように思えるのは、あまりにも悲観的な見方なのであろうか。