第二章 脆弱な物質的豊かさ

2014年における世界の大富豪は、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏だが、総資産8兆円を超える。
10年前でも彼が世界一の大富豪だったが、その総資産は6000億円程度だったから、10年間で10倍になった計算である。
この間、
世界はゼロ金利の時代だったから、ほとんどの一般市民の貯金は増えるどころか、減っていったのにである。
いわんや、
1980年代に、日本を筆頭にバブル経済が発生した当時の金利(およそ5%)で10年複利の定期預金をしても、せいぜい2倍にしかならなかったのに、ビル・ゲイツ氏の財産は10倍になった。
この事実は、一体何を示唆しているのだろうか?
まさに、
物質的豊かさは、脆弱であることを逆示唆しているのである。
なぜなら、
人間社会が、この10年間で格差社会から超格差社会になっていたのが、その証左であるからだ。
現に、
100万ドル(1億円)の現金を持つ金持ちが、この10年間に100人に1人から1000人に1人になっている。
平たく言えば、
人口に占める金持ちの比率が1%から0.1%になっている。
まさに、
人間社会という器の質(厚み)が、1%の薄さから0.1%の超薄さという脆いものなっている証左である。
この事実は一体何を示唆しているのだろうか?
まさに、
二十世紀半ばまでの世界、すなわち、第二次世界大戦直後(1945年前後)の世界なら、革命の嵐が吹いていただろう。
ところが、
二十一世紀のはじめにジャスミン革命と呼ばれた、チュニジアは皮切りに、エジプト、リビアに一連の革命の嵐が吹き荒れ、二十世紀の半ばころの再現かと思われる展開があったが、その後、不思議なくらい、パタッと止まったと思いきや、テロ事件が頻発しだしたのである。
まさに、
二十世紀までの戦争形態が大量破壊兵器に収斂され、その究極に核兵器があったのに対して、二十一世紀の戦争形態は大量破壊兵器ではなく、テロ行為に代表されるように、個人攻撃に移行していったのである。
この事実は一体何を意味しているのだろうか?
まさに、
組織の時代から個人の時代へ移行してゆくことを意味しているのである。
言い換えれば、
物質的豊かさが如何に脆弱なものであるかの証左に他ならないのである。