第六章 臆病な男性(オス)社会

差別・不条理・戦争という人間社会だけにある悲劇は、人間社会が男性(オス)社会であることが原因です。
他の生き物社会はすべてメス社会です。
ではなぜ人間だけがオス社会をつくってしまったのか。
人間という生き物が腕力の弱い生き物、つまり、草食動物だったからです。
肉食動物は他の動物から攻撃を受けることはなく、攻撃する日々を送る。
草食動物は他の生き物から攻撃を受ける日々を送る。
人間は、ライオンやトラといった肉食系ではなく、シマウマやシカと同じ草食系だったことを示しています。
弱い草食系の生き物だった人間ゆえに、創意工夫が為される。
シマウマやシカたちの嗅覚・聴覚が視覚を遥かに凌ぐ能力を持っているのは、肉食系動物の攻撃から身を守る手段として創意工夫が為された結果でしょう。
つまり、外敵から身を守る創意工夫が草食系動物には必要だった。
人間という草食系動物の採った創意工夫は視覚の能力を向上することでした。
人間が視覚動物と言われる理由です。
視覚能力を向上するためには目線を上げて視界を拡げることに気づいた人間は、四本足生き方から二本手・二本足生き方に移行していった。
二本手・二本足生き方は、草食系動物の生き方に知性という強力な武器をもたらした。
草食系生き物・人間が肉食系生き物に移行していったきっかけこそが、知性が腕力を上回ることを知った出来事だったのです。
生き物にとって、外敵から身を守ることは副題的なことで、食べ物を獲得することが主題的なことです。
ライオンにとっての食べ物である草食系動物の狩をするのはメスライオンであり、オスライオンの役割は外敵である他のオスライオンと闘うことで、ライオン社会のボスは狩をするメスなのです。
知性を武器に肉食系に移行した人間は、ここで間違った道に入ってしまった。
男性(オス)社会の誕生であり、差別・不条理・戦争社会の誕生であり、死の概念を知った故の死を恐れる生き物の誕生です。
男性(オス)は死を極端に恐れる生き物である根拠がここにあります。
男性(オス)社会が維持される限り、人間は死の恐怖から逃れることは難しいでしょう。