第五十六章 錯覚からの気づき

四本足動物から二本足動物に進化(退化)して以来、錯覚の歴史を辿ってきた人類、そして、わたしたち人間が、悩みや苦、そして、死の恐怖に苛まれる自らの人生から解放するためには、二種類の時間があることに気づくことが、その新しい歴史への第一歩になります。
四本足動物から二本足動物への変化を進化と捉えた結果、知力による科学を生み、人間社会だけに恩恵を与えた一方で、四本足動物から二本足動物への変化を退化と捉えた結果、悩みや苦、そして、死の恐怖に苛まれる生を送る羽目に陥った。
まさに知性(知力)の功罪両面が顕現された結果であるのに、わたしたち人間は未だに功的側面しか自覚していない。
錯覚の生き物・人間の原点がここにあります。
その錯覚に気づく第一歩が二種類の時間があることを理解することです。
過去・現在・未来といういわゆる唯一の時間と思い込んできた実時間。
『今この瞬間』という現在の一部と勘違いしてきた『今、ここ』という虚時間。
過去・現在・未来という動く(流れる)時間こそ、悩みや苦、そして、死の恐怖に苛まれる元凶なのです。
「色即是空、空即是色」とは、まさに「この世とあの世を貫く世界」、つまり、『今、ここ』のことであります。