第五章 真の親

わたしたち人間は間違った親という概念を持って生きてきたようです。
自分を産み落としてくれた母親を親と思い、更に子種を与えてくれた父親をも親と思って生きてきた。
支配・被支配二層構造という人間社会だけにある差別制度、更に支配・被支配二層構造の差別をより強固にするための世襲・相続制度、更に男性(オス)が支配する男性(オス)社会。
古代社会から現代社会まで貫くこれらの慣習は、自然社会には決してない人間社会だけにあるものです。
差別・不条理・戦争が人間社会だけにあるのは、これらの慣習が原因であることは明白です。
差別はよくない。
不条理なことはよくない。
戦争はよくない。
建前では常識で、世界中でこのことに反対する者は誰もいない。
アメリカが世界の警察国家と自称して、差別・不条理・戦争が行われている国家を懲らしめると胸を張る。
イスラエル・パレスチナ問題も、アイルランド紛争も、イラク戦争も、イラン核問題も、北朝鮮問題も差別・不条理・戦争という罪を犯している国家を、アメリカを中心の先進国家が懲らしめるというわけです。
では先進国家は差別・不条理・戦争を一切していないのか。
アメリカにおける黒人差別問題や全世界で繰り広げられている差別。
国連常任理事国という半世紀以上も前に自分たちの身勝手だけで決定した核保有国のエゴは、彼らだけが核兵器を保有することができ、他の国は一切認めないという理不尽な差別・不条理の極みです。
そんな国が世界の平和を望むと言っても誰が信用するのか。
アメリカのブッシュ大統領やイギリスのブレアー首相が本気で世界の平和を目指しているとするなら、人間という生き物が如何に錯覚しているかの逆証明になる。
政治・経済・社会が差別・不条理・戦争を解決できるのではないのです。
支配・被支配二層構造と世襲・相続の制度が差別・不条理・戦争の元凶なのであり、その背景には自分を産み落としてくれた母親を親と思い、更に子種を与えてくれた父親をも親と思う、間違った親の概念があるからです。
わたしたち人間にとっての親は地球だけであり、すべての人類も、他の動物も、植物も、鉱物も、地球の表面に存在するものはすべて地球を親とする、わたしたちの兄弟である。
死とは母なる大地に戻ること。
そうであるなら、死は怖いものではありません。
故郷に戻る懐かしいことに外なりません。