第七十章 死の経験

死とは、一時的完全熟睡という生との橋渡しをする不完全な死と、永遠の完全熟睡という死との橋渡しをする完全な死とに分かれている。
死が随所にある所以です。
死が実在で、生は死の不在概念である証左です。
わたしたちは毎日一時的完全熟睡という不完全な死から生き返っているのです。
夜眠りに就いた途端に完全熟睡に入るのは(五感の)死んだ状態と同じであり、眠りに就く直前までの記憶が一切途絶えることで死の一瞥を知るのです。
完全な死であれば、その状態が以後ずっと続くわけですが、一時的な完全熟睡のために途中で五感の一部が機能しだすことで生き返るわけです。
更に五感が多く機能しだすと夢を観ている眠り(REM睡眠)に入り、その延長にある目を覚ますことで晴れて生き返るわけです。
夜眠りに就く直前の記憶は、眠り(完全熟睡)に入った途端に途絶えるのに、朝眠りから覚めた直後には眠りの記憶、つまり、夢を憶えているのは、眠りの中で死から生き返った証左であります。
拙著「夢の中の眠り」Vol.(III)Chapter409「ON/OFFの世界観」及びChapter410「ON/OFFの正体」で、そのメカニズムを詳細に説明しているように、畢竟、わたしたちは常に死を経験しているのです。
死は未来のことで、生きている者にとって未経験だと考えていたことも実は錯覚だったわけです。
わたしたちは、生と死の観念も変える必要があります。