第四十二章 四苦八苦の根源

“自分もいつか必ず死ぬ”という死の概念。
未だ来ぬ未来の出来事を恰も過ぎ去った過去の出来事のように錯覚する時間の概念。
天地創造者であり人間の上位に位置する神の概念。
結局の処、概念とは実現不可能な考え方に他ならないわけです。
神の概念=時間の概念=死の概念は、わたしたち人間にとって制御不可能な問題であります。
実現不可能なこと、制御不可能なことを考えるのが、「考える葦」である人間なのであります。
概念とは、実現不可能なこと、制御不可能なことに他なりません。
観念とは、実現可能なこと、制御可能なことに他なりません。
死の概念=時間の概念=神の概念という自己矛盾も甚だしいとんでもない錯覚から、わたしたち人間は、実現不可能なこと、制御不可能なことである概念を、恰も、実現可能なこと、制御可能なことである観念に摩り替えてしまった。
実現不可能なこと、制御不可能なことである概念を表面にして、実現可能なこと、制御可能なことである観念を裏面にした一枚のコインを捏造してしまった。
間違った二元論、つまり、好いとこ取りの相対一元論の誕生です。
“(実現・制御不可能な概念である)生が好くて、(実現・制御可能な観念である)死が悪い”
“(実現・制御不可能な概念である)オスが好くて、(実現・制御可能な観念である)メスが悪い”
“(実現・制御不可能な概念である)善が好くて、(実現・制御可能な観念である)悪が悪い”
“(実現・制御不可能な概念である)強が好くて、(実現・制御可能な観念である)弱が悪い”
“(実現・制御不可能な概念である)賢が好くて、(実現・制御可能な観念である)愚が悪い”
“(実現・制御不可能な概念である)富が好くて、(実現・制御可能な観念である)貧が悪い”
“(実現・制御不可能な概念である)幸福が好くて、(実現・制御可能な観念である)不幸が悪い”
“(実現・制御不可能な概念である)天国が好くて、(実現・制御可能な観念である)地獄が悪い”
“(実現・制御不可能な概念である)健康が好くて、(実現・制御可能な観念である)病気が悪い”
“(実現・制御不可能な概念である)神が好くて、(実現・制御可能な観念である)悪魔が悪い”
“(実現・制御不可能な概念である)支配者が好くて、(実現・制御可能な観念である)被支配者が悪い”
わたしたち人間だけが、悩みや苦、そして、死の恐怖に苛まれる人生に足を踏み入れた根源がここにあるのです。