第二十二章 五観

“死は随所にある”ことを感じる『今、ここ』という虚時間の体内時計。
“死はいつか必ずやって来る”ことを考える過去・現在・未来という実時間の時計。
二つの時間の目盛りを表わす二つの時計。
体内時計と体外時計と言い換えてもいいでしょう。
野生の生き物は、時間の観念を持ち、体内時計を肉体全体で感じている。
わたしたち人間だけが、時間の概念を持ち、体外時計を五感で観ている。
観念とは全体感に他ならない証左であります。
概念とは部分観に他ならない証左であります。
「在り方」とは全体感に他ならない証左であります。
「考え方」とは部分観に他ならない証左であります。
感じるとは「在る」ことであります。
観じるとは「考える」ことであります。
つまり、
五感とは観じるものであり、感じるものではありません。
肉体とは感じるものであり、観じるものではありません。
五感ではなくて五観であります。
これも人間が錯覚してきた大きな問題です。