第十七章 自然 vs. 科学

人間の平均寿命が80才まで伸びた日本のような先進国の一方で、平均寿命が30才にも満たない後進国が山とあります。
人口が増えている国の平均寿命が低く、人口が減っている国の平均寿命が高いという現象であります。
エイズや飢餓が原因で平均寿命が30才にも満たないアフリカの国で爆発的な人口急増現象が見られるわけです。
一見、逆現象のようです。
豊かな衣食住と医療の発達で平均寿命が伸びているなら人口も増えていい筈なのに、人口が減っている先進国。
貧しい衣食住と医療の不足で平均寿命が縮んでいるなら人口も減っていい筈なのに、人口が増えている後進国。
この逆現象を一体どう捉えたらいいのか。
先進国では、
余るほどの衣食住環境を持つ両親が世襲・相続できるのに何故子供を生まないのか。
余るほどの医療環境を持つ両親が病気の心配の無いのに何故子供を生まないのか。
後進国では、
エイズになっている両親が遺伝するのに何故子供を生むのか。
飢餓で苦しんでいる両親が食物を与えられないのに何故子供を生むのか。
一見、理解に苦しむ現象であるわけです。
わたしたち人間だけが有する知性では理解できない現象が起きているからです。
知性では到底理解できない現象とは、自然の食物連鎖の法則に因るものです。
知性に基づく科学ですべてを解決しようとする人間社会ですが、現実はそういう風には行かないことを、この現象は示唆しているのです。
知性を有しているわたしたち人間だけが、“生が好くて死が悪い”という好いとこ取りの相対一元論の「考え方」で生きているからです。
知性を有していない他の生き物は、“生も死もない”という絶対一元論の「在り方」で生きているからです。
「考え方」と「在り方」二元が分裂する人間。
「在り方」一如の他の生き物。
「在り方」が「考え方」を打ち負かすのは明白です。
一見、逆現象に見える理由の所以がここにあるのです。