第五十九章 束縛されない暮らし(5)

束縛のない生活 (組織による束縛からの解放)(2)

それではどうして現代人は、現在に自分の未来を手繰り寄せようとするのでしょうか。
それは、自分独自の価値基準である「ものさし」が欠落していることに最も大きな要因があるのです。
自分自身に確固たる「ものさし」を持っていないのですから、物事の価値を計る「ものさし」を他者に求めざるを得ません。
誰もがお互いに「ものさし」を他者に求めるのですから、誰にでも共通するという「ものさし」が必要となってくる。
その「ものさし」となってしまったのが、本質的な面ではお金すなわち貨幣であり、共通性という面では他者の集団である組織であり、その行き着くところが現代拝金主義社会であるのです。 
自分自身の価値を計る「ものさし」がないために、他者(組織)が共通に認めるものでしか価値が判断できない、しかし自分で判断したものではないので、心の底にはどこか不安感が残っている。
その不安を消すために、他者(組織)が認めているものを更に多く集めたくなり、いわゆる現状・現実・現在に没頭できず(満足出来ず)、「もっともっと」と未来に思いを馳せることになるのです。
知らず知らずのうちに、常に他者延いては組織に束縛されながら生きているのが我々現代人であるのです。
束縛のない生活とは正に、「他人(組織)を気にしないで、自分自身の価値基準をしっかりと具え、その基準に従った生き方をする」ことに他ならないのであります。
お金では買えないこと、お金に変えられない経験は誰にでも一度はあることでしょう。
そしてそれは自分自身にとって強烈な印象となっている筈です。
他人がその話を聞いてもさほど大きな事柄ではないと感じるのに、本人にとっては大変重要な内容というのが多いのは、正に自分自身の価値基準に基づいている証拠であります。
交通事故による死亡者の数が年間ほぼ1万人の交通戦争時代と言われる現代日本社会にあって、その3倍(年間3万人超)にも上る自殺者がいる現状を考えれば、精神的疾患度合いは正に極みにあり、わが国は物質文明(拝金)戦争の戦犯国、且つ最大の被災地であると言えるのではないでしょうか。
こういった精神戦争が続けば、その戦火はいつ自分に降りかかってくるかも知れません。
これからやってくる社会に向け、我々にまず必要なことは、他者(組織)の束縛から自身を解き放つこと、すなわち自分自身の価値基準を明確に具え、それに則した生活を行うことが「束縛のない生活」を送ることになるのです。