第五十八章 束縛されない暮らし(4)

束縛のない生活 (組織による束縛からの解放)(1)

生活物資が豊かになればなるほど、より大きな豊かさ、快適さを求めるのが現代物質文明社会です。
本来生きていくために摂る食事も、食が豊富になればより豪華な食事を欲するようになる。
単なる移動手段に使う自家用車にしても、使用用途をはるかに上回る高級車が欲しくなる。
身近な人が自分より高価なもの、便利なものを所有していたなら、物質への欲求は一層強くなるのが現代物質文明社会の特徴です。
豊富な物質を所有していること、若しくは保有する能力がある人(金持ちの人)こそ、現代社会において人生の成功者と言われる人々となっています。
一方、物質文明が発達すると精神的疾患者が増加するのも事実です。
生きていくのが精一杯の社会においては、日々の生活の糧を得るのに必死であるがゆえに、過去のこと、未来のことをくよくよ考えている余裕がありません。
ある程度の余裕が生まれてくれば、余裕ある生活が基準となり、「もっと良くなりたい・もっと楽になりたい」という際限のない欲望が逆に湧いてきます。
つまり常に自分の未来について想いを馳せて生きてしまうことになるのです。
人間の欲望の本質というのは、「何かを手に入れたい」という気持ちにあるのではなく、未来に思いを馳せて生きてしまうこと、逆に言えば、『今やれる事をやる、この積み重ねでしか未来はあり得ない』にも拘わらず、現在にその未来を手繰り寄せようとすることにあり、この衝動こそ、物質文明の発達に因って増加した精神疾患の正体であるのです。