第五十六章 束縛されない暮らし(2)

束縛の歴史(2)

人類の祖先はアウストラロピテクスという猿人と言われていますが、彼らが現れたのは、今から四百万年くらい前のことです。
猿とヒトとの決定的な違いは、直立二足歩行するかどうかにあります。
この変化は人類に二つの大きな変化を齎しました。
一つは手が自由になったこと、もう一つは脳の発達を可能にしたことです。
ではこの頃の人類はどのような束縛を受けていたでしょうか。
それは正に文字通りの自然の脅威であったと言えます。
未だ食物連鎖の一構成員であり、強い腕力と牙を持つ外敵に怯えて暮らしていた頃のことです。
やがて人類の祖先たちは、知恵が発達することによって、自然界の一構成員からそれを支配する上位者へとなることに成功します。
すなわち、外敵である動物を集団で狩をする方法を見出し、さらには道具(武器)を作り、火を使用することで、圧倒的な攻撃力を手にしました。
人類が地上の支配者となることを正に決定付けた進化と言えます。
その後人類は、猿人から原人(北京原人やジャワ原人)、原人から旧人(ネアンデルタール人)、旧人から新人(クロマニヨン人)へと進化していった。
その過程で、人類は原始共産社会(ゲマインシャフト)を形成して行きます。
これはあくまで狩猟をベースとした社会であり、狩猟を効率的に行うために集団が形成されたものです。
構成員は各々の役割を分担し、狩猟で得られた成果は、その分担に応じて平等に分配されていた。
やがて、人類は農耕を行うようになります。
農耕は狩猟と違って、その成果を備蓄することが出来ます。
これが再び人類の歴史に劇的な変化を齎します。
すなわち、他と比較して才のある者・集団はより多くの生産物を蓄積することが可能となり、結果、持つものと持たざるものが生まれます。
両者の関係はやがて、支配するもの・支配されるものへと変化します。
一部の支配者と奴隷によって構成される社会、古代奴隷社会の始まりです。