第五章 真の自由

死の概念を持つ唯一の生き物である人間にとっては、死だけが約束事、つまり、必然事であります。
死の概念を持たない他の生き物にとっては、すべてが偶然事であります。
すべてが偶然事であることを自由と言います。
必然事が一つでもあることを束縛と言います。
わたしたち人間だけが、悩みや苦、そして、死の恐怖に苛まれる原因は、束縛の人生を送るからです。
わたしたちは、自由という意味を今まで履き違えてきたようです。
自由の意味を検証してみましょう。
広辞苑の「自由」の解釈では、
「一般的には、責任をもって何かをすることに障害(束縛・強制など)がないこと。自由とは一定の前提条件の上に成立しているから、無条件な絶対の自由は人間にはない。自由は、障害となる条件の除去・緩和によって拡大するから、目的のために自然的・社会的条件を変革することは自由の増大であり、この意味での自由は、自然・社会の法則の認識を通じて実現される」とし、「社会的自由として市民的自由と政治的自由があり、市民的自由としては契約の自由、財産の自由、身体の自由、思想・信仰の自由、言論・集会・結社の自由などがあり、政治的自由としては参政権その他政治的目的のための行動の自由を意味し、両者ともそれらに対し国家権力その他の干渉がないことを意味する。自然的自由として、意志の自由と倫理的自由がある。カントにおいては、意志が感性的欲望に束縛されない自律を意味し、サルトルにおいては、人間は存在構造上自由であり、従って常に未来の選択へと強いられており、それ故自由は重荷となる」
これらの自由とは、人間社会だけに通用するものであり、真の自由とは宇宙を貫く自由であります。
つまり、
真の自由とは、死からの自由に他ならないのであります。