第四十八章 これからやってくる社会(2)

拝金思想の変遷(1)

拝金主義というものは日本社会だけにある現象ではなく、その歴史は古く、相当根の深いものであります。
拝金主義思想とは、お金を唯一無二の価値基準とすることに他ならず、いわばお金を神格化している意味から一種の宗教と言えます。
人類が外敵から身を守るための方便として原始信仰が発生し、少数の支配者が多数の被支配者、つまり、奴隷を支配するための方便へとその後変わって行きます。
やがて、奴隷を精神的に救う(現実的な解放ではない)ための手立てとして、キリスト教が発生しますが、これが大きな社会的広がりを持った結果、いわゆる中世社会が一千年続くことになります。
この間、教会の権威の下、お金を儲けることは悪とされて、よりよい生活をしたいという人々の要求は抑えられてきました。
そして、ルネッサンス・宗教改革が起こり、キリスト教の中にも利潤を得ることは神の教えに反しない、というような説が生まれて、それまで抑圧されてきた人々の物質的欲望が解放されます。
この動きが近代哲学思想と結びつき、産業革命を経て、資本主義社会が成立し現在に至る訳です。
ここで着目すべきことは、中世社会から近代社会への変遷の中で、利益追求・お金儲けの位置付けが180度変った点です。
ルネッサンスの特徴は人間性の解放ですが、それは同時に物質的欲望の追求を認めることでもあります。
利潤追求の欲求が猛烈に拡大する中で競争原理が働いて、その手法はより徹底化されていきます。
他の価値観は次第に駆逐され、お金が唯一無二の価値基準に到ったのが現代社会です。
拝金主義思想が一種の宗教だとする所以です。
平たく言えばお金が神様になってしまった訳です。