第四十一章 新しいイデオロギーの構築(2)

利益追求のための組織(1)

人間社会の対立は二元論的発想が基にあったからです。
では、こうした対立を無くすために、我々は何をすべきなのでしょうか。
柵封(さくほう)という言葉があります。
古代中国の漢王朝の時代に生まれた中華思想の原点となる概念で、自分たちの国が世界の中心だという考え方です。
ラテン語を語源とした言葉にPaxという言葉があります。
Peace(平和)の語源であり、Paxロマーナとは、ローマ帝国の下の平和を意味しており、Paxブリタニカとはイギリスの下の平和を意味しており、さしずめ現代世界はPaxアメリカーナつまりアメリカの下の平和を意味する言葉が当てはまります。
中国風に言えば、ローマ帝国の下での柵封体制と言っていいでしょう。
どうやらこの柵封という概念が、支配者と被支配者という二元論的考え方と共に生まれたようで、組織という概念もここから誕生した。
支配者側から被支配者側への平和の押し付けであり、典型的な二元論的考え方です。
アメリカが世界の警察国家として、世界の平和維持の為に戦争をし続けているのも、まさしく平和の押し付けによる世界支配体制の確立にあるわけです。
第一次世界大戦までがPaxブリタニカの時代であり、冷戦以後はPaxアメリカーナの時代になったのです。
現代世界を支配する仕組みは、何ら古代中国やローマ帝国の時代から変わっていないのが現実です。
支配・被支配という二元論的発想に視点を戻すと、その原点は相当に古く根深いものです。
ゲマインシャフト(共同社会)からゲゼルシャフト(利益社会)に変化していった人間社会の中に、支配・被支配の二元要因が生まれたことは容易に想像できます。
利益の概念が誕生したのは、蓄積の観念が誕生したからであり、蓄積の観念は自己保存意識、自己防衛意識と密接に繋がっています。
それまでの人間社会には存在しなかった、持つ者と持たざる者が発生し、持つ者は自らの財産を奪われるのを恐れ、かつ他のものの財産を奪おうとして争いを繰り返し、やがては勝者が政治的権力を握った結果、支配する者と支配される者が生まれました。
宗教などはこの支配・被支配体制を推進するための便法として大いに利用されてきた訳です。