第三十五章 悲劇と発展の二十世紀(4)

戦争の思想的背景(1)

ここで二十世紀の各々の悲劇について、一般的な捉え方を列記してみます。
第一次大戦は、海外植民地獲得を背景とした、先行グループ(イギリス・フランス)と後発グループ(ドイツ)の争い。
第二次大戦は、自由経済主義体制諸国(アメリカ・イギリス)対ファシズム国家(ドイツ・イタリア・日本)との争い。
そして、冷戦は資本主義国家(アメリカ)対社会主義国家(ソビエト)という認識です。
一見、その都度主役が異なることもあって、各々が独立した覇権争いのように思われますが、実はそうではなく、むしろ一貫した思想的対立がベースにあることは、これまで何度も繰り返してきました。
就いては、その思想背景を以下説明します

資本主義は自由主義思想をベースとしています。
アダム・スミスの思想に代表されるように、自由な選択による自由な競争、そしてその結果として自己の幸福を追求できる社会こそ理想である、という考え方です。
その思想に基づき、自由競争において切磋琢磨した結果、次々に新しい技術・商品を産み出し、イギリスが産業革命の先陣を切ったことは、周知の事実です。
一方、社会主義(共産主義)のベースは啓蒙主義思想です。
産業革命に乗り遅れたドイツなどの国々が持った焦りは、無知な大衆に選択を委ねる余裕はなく、少数のエリートを育成し、その指導力に国家運営を委ねるという発想に行き着きます。
言い換えれば、国家官僚の知識と善意に依存するのを良しとする考え方です。マルクスの思想の背景にはそれがあったわけです。