第三十章 哲学より生まれた資本主義・社会主義(4)

哲学から経済学へ(2)

社会主義経済は啓蒙主義の賜物であり、啓蒙主義を育んだのが合理論であるということは、社会主義のルーツは合理論哲学にあると言えます。
社会主義の祖であるカール・マルクスはドイツ生まれのユダヤ人です。
本人の学識や能力に相反して、社会的・経済的にはめぐまれていない人生を送りました。
そうしたこの世的成功に報われないことに対する苛立ち・妬みが、社会主義経済原論の作成に彼を駆り立てたのではないか。
社会主義を資本主義に対するアンチテーゼとして世に送り出したこと自体が、いわば先行した成功者への反発という点でオーバーラップする。
彼が生み出した社会主義経済学は、故国ドイツでは受け入れられないどころか、危険人物として追放の憂き目に遭います。
亡命者としてのマルクスを受け入れたのが、当時、資本主義の絶頂期にあったイギリスであったということは痛烈な皮肉であります。
ソ連の崩壊による東側諸国すなわち共産主義世界の名残は今や北朝鮮のみになってしまい、西側諸国の盟主であるアメリカは資本主義体制つまりイギリスを発祥の地とする世界観を揺るぎなきものにする為の最後の止めを刺すことに躍起になっています。
それがイラク戦争の真の狙いかも知れません。
何故ならば、資本主義体制とは決して一枚岩ではない、お互いに反目し合う危険性を孕んだふたつの思想がその根底にあるからです。