第十九章 資本主義・社会主義の創生と発展(3)

産業革命と資本主義の発展

産業革命はまずイギリスで起こりましたが、それを支えた大量の労働力の供給は、農業技術の発達によって生産力が増した結果生じた余剰労働力を、工業部門に投入することによって可能となりました。
蒸気機関の発明等、いわゆるハードの技術革新は、さらに大きな効果を齎し、生産力の飛躍的発展、大量生産によって可能になったコストの削減、そこから得られる利潤の蓄積は資本家の登場を可能にしました。
こうした資本家同士が互いに競争することで、さらに生産力が増加し、資本が蓄積されていくという善循環の下、自由主義経済を至上命題とする資本主義思想が生まれたのです。
ここで少し話題を変えて、19世紀の各国のGDPを比較してみます。
当時の生産力の指標は繊維の生産量ですので、まず1820年代において比較をすると、中国・インドが全体の45%を占める一方、イギリスのシェアはたったの5%に過ぎません。
産業革命は既に始まっていたとはいえども、世界的に見ればまだまだ大きな影響力を持つに至っていなかったことが分かります。
ところが、1870年以降にこの数値はすっかり逆転します。
つまりイギリスが名実ともに世界経済の推進役となりました。
この大きな成長を支えたのが通信網と鉄道網等インフラの発達です。
また前述した通り「パックスブリタニカ」という名の広大な海外植民地は、生産力の発展の結果生じた生産物を受け入れる役割をも果たしました。
このように産業革命には、第1次と第2次があり、後者において大きく飛躍したことが分かります。
生産性を向上させて他者との競争に勝ち、利益を得るというこの第2次産業革命の善循環は第1次世界大戦の直前まで続きました。
デフレ傾向にありながら高い成長率を示すというこの上ない成功の下、資本主義思想は確固たる地位を占めることとなります。
その華やかな成功の一方で、資本主義と相克の運命にある思想が芽生えつつありました。