第十二章 実体のない死

生みの親を親と思い込むことは、有機体という映像の世界を現実と思い込むことに他ならず、地球を親と自覚することは、無機体という実在を自覚することに他ならない。
有機体と無機体。
死の正体はここにあります。
死とは有機体の死に他ならない。
無機体には死はない。
有機のことを英語では(organic)と言います。
無機のことを英語では(inorganic)と言います。
組織のことを英語では(organization)と言います。
つまり、有機(organic)とは組織(organization)のことを言い、無機(inorganic)とは組織(organization)の反義語のことを言うのです。
組織(organization)というのは実体がありません。
国家・社会・会社・家庭といったものが組織(organization)ですが、単なる概念であって、実体はない。
従って、実体のない組織(organization)の反義語である無機(inorganic)が実体がある。
実体のあるものに死はない。
実体のないものに死がある。
わたしたち人間は実体のないものだけにある死に怯えて生きているのです。