第七話 白隠さんの不始末−7

親父がまったく 家から出て来なくなったのを心配して 

近所のものたちが松蔭寺の和尚のところへ行った

いったい 親父はどうなったのか 頭の具合はよくなったのか と聞いたら

和尚は 笑いながら 言った

親父どのは 完全に正常に戻ったよ

それなら どうして家から出て来ないのか と聞くと 和尚は

ばかばかしくなった と言って帰っていったから 

外に出るのがばかばかしいのではないかなと わしは思うが と答えた

何が ばかばかしいと思ったのでしょうか と聞かれた和尚は 少し考えて言った

うん わしにもよくわからんが 

わしが医者ではなくて白隠だとわかったからではないかなと思うのじゃが

それじゃ せっかくの工夫が台無しになるではないですか 親父は和尚のお陰で 

頭がおかしくなったのですよ

だから わしは責任を感じて医者の振りもしたのじゃ

だがこれ以上親父どのを騙すことは出来ないではないか

それじゃ 和尚は やはりあの子の父親ではないのですな と聞かれて

いや それは本当じゃ  

それなら 何を騙したのですか

あの子の父親はわしじゃが あの子の母親は 親父の娘ではない

仰天した みんなは 訳が分からなくなった

そこで 和尚が にやっと笑って言った

だって これで おあいこじゃろうが