第六話 白隠さんの不始末−6

ますます本当のことが分からなくなってしまった親父は とうとう気がおかしくなった

近所のものたちが 誰かよい医者はいないものかと相談した

しかし この病気は難儀なものだから ちょっとやそっとの医者では治すの無理だ

結局 白隠和尚しか 治せる人はいない

しかし 病気の原因が和尚だけに みんなは困り果てた

そこへ 一人の若者が 意見を言った

白隠さんに相談したら きっと何でも言うことを聞いてくれるはずだと

みんなは いっせいに その若者の顔を見た

若者は 下を向いたまま黙ってしまった

しかし 意見は最もだということになって 和尚に相談しに行った

和尚曰く 

わしが 医者に変装して治してつかわそう

みんな 喜んで 親父を 医者の家に連れていった

そこに変装した 和尚が 座っていた

親父に 和尚はどうしたのかと尋ねると

とんでもない和尚がいて その和尚のお陰で頭がおかしくなったと 親父は答えた

和尚は そんな和尚は懲らしめるべきで わしが 親父のために懲らしめてやると言った

喜んだ親父は 松蔭寺に行った

いくら 手を叩いて白隠和尚を呼んでも 出てこない 

親父が 困り果てているのを見て 和尚はかわいそうになって

わしが 白隠和尚だが 何のご用かなと 答えた

親父は 突然笑い出して こう言った

こんな 冗談は世の中には絶対有り得ない ばかばかしい

こう言って 親父は まったく正常に戻って家に帰ってしまった

その後 親父は 家から一歩も出てこなくなった