第三十二話 武平と悪たれ小僧

白隠に一方的に破門された武平は 訳が分からない

何も借金棒引きを断ったわけでもないのに 考えさせて欲しいと言っただけ

それで即破門とは それはあんまりだ

やはり和尚は 借金を返すのが嫌で 破門したのだ

そう思った武平は 腹が立ってきた

家に帰ると 使用人の息子で悪たれ小僧の金太が炊事場で飯を食っていた

武平は 怒って金太を怒鳴った

お前は 使用人でもないのに 何故わしの飯を勝手に食っておるのか!

悪たれ小僧は 不思議そうな顔をして武平を見て言った

ここにある飯は あんたのものか?

それは当たり前ではないか わしの家にあるのじゃから

それなら 田んぼにある稲は あんたのものじゃないわけか 一体誰のものか

それはつくった百姓のものじゃが わしがそこから買ったのじゃ

それはおかしな話だね 田んぼの稲は その下にある土のものではないのか

あんたの家にある飯があんたのものなら そういうことになるではないか

武平は 返事に困った

それは お前のような悪たれ小僧が使う屁理屈じゃ

ほう 理屈も屁をこくのか これはおもしろい 

その屁はどこから出て来るのかい あんた?

武平は切れてしまった

もうええ!勝手に好きなだけ飯を食っておれ

それを聞いて喜んだ悪たれ小僧は こう言った

松蔭寺の和尚にも そう言えば良かったのに

この悪たれ小僧 実は 松蔭寺の掃除小僧だった