第二十話 銭まわし

白隠は武平と知りあうにしたがって 武平の驚くべき才能を見抜いた

駒まわしの芸人は世に掃き捨てるほどいるが 銭まわしは武平だけだ

駒まわしは 駒を自分の体の一部のように自在に操る

武平は 銭を自分の体の一部のように自在に操る

ある日 白隠が武平に尋ねた

銭をまわすにはどうしたらよいか

武平は白隠に言った

なぜ銭は駒と同じように円いのですか

白隠は 問答の達人だが この問いには はたと困った

白隠は 隻手の声の問答より難しいと唸った

円いのはまわすために円いのです だから銭はまわさなければなりません

これを聞いた和尚は 参った 参った