第十四話 白隠と金の亡者(もうじゃ)

庄屋の主人が困り果てて白隠に相談しに来た

何がそんなに困っているのか と白隠が尋ねると 庄屋は言った

庄屋仲間で 隣村の武平という金持ちの爺々(じじい)がいる

この爺々(じじい)が 日頃から金に執着してはいかんとみんなに言う

ところが 細かいのなんの 

この前も 庄屋の集まりがあって 飲み食い代で大もめにもめた

その爺々(じじい)が 自分は酒を飲まんから みんなと同じ代金は払わん

酒代は いくらになったか それを差し引いてから頭数で割れと言うんで

金に執着するな と言うなら もうそっと大ざっぱになったらいいもんだと

わしらは思うんですが 和尚は どう思われますか

白隠笑って答えた

お前たちは 貧乏根性の金亡者

その爺々(じじい)は 金持ち根性の金亡者

金の亡者に変わりない

お前たちは どちらも 金に執着しておらんと言っておる

それが 金の亡者のいつもの台詞

金の亡者でない者は 金の話などせんわい わかったか