第十三話 欲ぼけ爺々・白隠

白隠の知っている在家に勘定高い老人がいた

日頃 白隠の前では 金など無用の長物だと宣(のたま)う

ところが家では 明けても暮れても 銭のことばかり言う

そこの雇われ婆さんが白隠のところへ頼みに来た

どうもうちの爺々は欲が深うて困ります

年寄りの冷や水ならよろしいが ああ銭 銭と言われてはまわりが困ります

何とか説法して貰えぬでしょうか

そうか それなら帰ってお前とこの爺々にこう言えと 教えた

毎日唱えた念仏の数だけ白隠が銭をくれる

それを聞いた爺々は大喜びして 一所懸命念仏を唱えた

千回にいくら 万回にいくらと 白隠はその爺々に銭を払ってやった

爺々はますます念仏に励んだ 

そして何万回か唱えているうちに回数を忘れてしまった

雇われ婆さんは回数を忘れては銭を貰う訳にはいきませんと爺々に言った

爺々は そこを何とか白隠に談判してこいと言う

婆さん 事の仔細を白隠に伝えると 白隠は笑って言った

ほっておけ ほっておけ そのうちに分かってくる

それから一週間経っても 爺々は何も言わずに念仏三昧になった

そしてそれから銭の話しをしなくなった

現代の欲ぼけ爺々はどうかいな?