第十二話 おたふくの深情け

三島遊郭一の花魁になった女郎の名はふくと言った

顔が大きいことからおたふくと呼ばれていた

顔が大きい女は情が深い

太股の豊かな女は情が深い

花魁になる大事なことは深情けだ

吉原一の花魁も決して美形ではなく 深情けだ

おたふくは 白隠に操を守ったが 白隠には他の女郎をも与えた

それが花魁の深情けだ

ある日 おたふくがある女郎に聞いた

和尚はやさしいかえ

女郎は答えた

それはもう あまりやさしくて一晩中 お話しをしてくださった

おたふくは 感激のあまり 涙をぽろぽろ 流して女郎に言った

そうかえ そうかえ 和尚は誰にもそうなんかえ

一晩中 面白いはなしをして女郎を慰めてくれるのが和尚の深情けだった