第九話 役人の役目【時刻:2023年2月9日午前1時24分】

20年前のこの国が歴史を通じても最もひどい状態だったのは、お役人さんが腐り切っていたことだとお父さんが言っています。
それから1千4百年以上も前に立派な方がおられたのですって。
聖徳太子と呼ばれる方で、この国で初めての人間のルールをつくった人なんです。
この人は、お札にも出られた、この国では一番有名な方なので、みなさんも良くご存じだと思います。
だけど、この方のつくられたルールを、未だに日本人は守っていないようです。
特に、お役人さんがひどいようです。
そのルールとは、このようなものです。

「四に曰く
 群卿百僚、礼を以って本とせよ。其れ民を治むるの本は、要 礼に在り。
上 礼なきときは 下 斉(ととの)わず、下 礼なきときは、以って必ず罪有り。是を以って、君臣礼有れば、位次乱れず。百姓礼有れば、国家自ら治まる」

国を治めるのはお役人さんだから、礼儀を大切にできる人がお役人さんの仕事に就かなければならないのです。お役人さんは、礼儀正しくしなければならないという意味ではありません。
青年時代というのは、川でたとえれば上流で、水は澄んでいるけれど流れは急な時で、そのために人の心の痛みを知ることができて、人に優しくしてあげる人間になれる時代なのに、20年前の偉い地位のお役人さんたちは、若い頃にみんな受験勉強という間違いを犯して、行ってはならない流れを無理やりつくってしまったと、お父さんが言っていました。
そんな時期に、受験勉強ばかりしている若い人たちは、この前にお話しました、赤ちゃんの頃に、お母さんのお乳を貰えなくて、動物なら早死にしてしまうのに、人間だけは、極端に臆病な子供になって、大人になると世の中の害になる人たちの仲間に入っていくのです。
世の中に害を蒔く人たちには、大きく分けて2種類あるそうです。
一つは、ヤクザさんみたいな、直接暴力を振るう人たち。
もう一つは、受験勉強にあけくれた人たちが大人になって、偉いお役人さんになった人たち。
ヤクザさんたちの悪さは、国を滅ぼすようなことまではしませんが、偉いお役人さんたちは、国を滅ぼすようなことを、平気で、悪いとも思わないでするのですから、一番の悪人ではないかとデビは思うのです。
そんな人たちが、国を治めていて、その国の普通の人たちが、正しく生きる筈がないですよね。

「五に曰く
 餮(てつ)を絶ち、欲を捨てて、明らかに訴訟を弁ぜよ。其れ百姓の訴えは、一日に千事あり。一日すら尚(なお)爾(しか)るを、況(いわん)や累歳をや。頃(このご)ろ、訴えを治むるもの、利を得るを常となし、賄を見て讒(げん)を聴く。すなわち財ある者の訟は、石を水に投ぐるが如く、乏しき者の訟は、水を石に投ぐるに似たり。是を以って、貧民は則ち由るところを知らず、臣道も亦、焉(ここ)に於て闕(か)く。」

そうすると、そんなお役人さんにお上手言って、自分の得になるようなことを考える人が自然に増えていきます。
人間の社会が不平等だから、平等という言葉が生まれたというお話をしましたね。公正に生きるのが一番大切で、公正なら人間にも出来るのに、平等、平等とこだわり過ぎるから、不平等をしてしまうんです。

「六に曰く
 悪を懲らし善を勧むるは、古(いにしえ)の良典なり。是を以って、人の善を匿(かく)すことなく、悪を見ては、必ず匡(ただ)せ。其れ諂(へつら)い詐(いつわ)るものは、則ち国家を覆すの利器たり。人民を絶つの鋒剣たり。また佞媚(ねいび)する者は、上に対しては、則ち好みて下の過ちを説き、下に逢いては、則ち上の失を誹謗す。其れかくの如き人は、みな君に忠なく、民に仁なし。是れ大乱の本なり」

だから悪い人を懲らしめ、善い人になるように、聖徳太子さんは勧めておられるのです。それが国を繁栄させる一番大切なことで、それを行うことのできる立場にあるのが偉いお役人さんなのに、その偉いお役人さんたちが、自分や自分の仲間だけが良い目をすることばかりやっているのですから、冬子でも、腹が立ってきて、お父さんについ口を滑らして言ってしまいました。
「テンシが、先ず御仕置きする人種が、この国の国家官僚である。月へは絶対に行かせない。まず額に×印をつける対象は奴らだ!」
お父さんは、目をつぶってしまいました。


「七に曰く
 人、各々任あり。掌(つかさど)ること宜しく濫(みだ)れざるべし。其れ賢哲 官に任ずれば頌(しょう)音則ち起こり、奸者官を有(も)つときは、禍乱則ち繁し。世に生知(苦労せず自然に頭がきくこと)少(まれ)なれども、尅(よく)念(おも)えば聖と作(な)る。事 大小となく、人を得れば、必ず治まり、時 急緩となく、賢に遭えば、自ら寛なり。此に因りて、国家永く久しくして、社稷(しゃしょく)危うきこと勿(な)し。故に古(いにしえ)の聖王は、官の為にして以って人を求め、人のために官を求めたまわざりき」

だから、20年前のみなさんが生きている時代は、お役人さんという人たちの選び方を、もう一度考え直す時期だったのです。
お父さんの、ちょっとやり過ぎですがやった事は、やはり正しいし、そうするしかなかったと、今の冬子は本当に思っています。