第八話 平等は不平等【時刻:2023年2月8日午前1時29分】

20年前のこの国のひどい状態をもう少しお話してみたいと思います。
お父さんは後悔していないと言っていますが、後味が悪かったことは確かなほど、あんなひどいお仕置きをしなければならなかったのでしょうか?
わたしが好きな動物の世界でも、性格の悪い子たちがいます。
同じように生まれてきても、なんであんなに性格の違う子になってしまうのか、わたしは良く考えたことがあるんです。
そしてわかったことがあるんです。
性格の悪い子は臆病なんです。
お母さんから産まれた時に、お母さんにあまり可愛がって貰えなかったのです。
だって何匹も赤ちゃんがいると、お母さんのお乳を飲ませてもらえない赤ちゃんがどうしてもいるんです。
赤ちゃんは、他の赤ちゃんのことを心配することはしません。
自分のことしか考えていません。
そうすると、お乳を飲めない赤ちゃんは、だんだんお腹が空いてきて悲しくなる。
それでも、お母さんは、その子に飲ませてあげようとはしないのです。
わたしは、それを知った時、とても怒ってお母さんに言いました。
「どうして、この赤ちゃんに飲ませてあげないの!同じ自分の子供でしょう?」
だけど、お母さんはこう言いました。
「いつまでも、お母さんがそばにいてあげることはできないから、自分のことは自分ですることが自然の世界のルールなの。だから可哀想だけど、わたしには自然のルールを破ることは出来ないの・・・」
哀しそうに話すお母さんでした。
そしてお乳を飲めない赤ちゃんは、他の赤ちゃんがお乳を飲み終わるまで、待っているんです。
みんなが飲み終わると、ひとりでお母さんのお乳を一所懸命しゃぶるんです。
だけどお乳がもう出ない。
哀しそうに、お母さんの顔を見つめるんですが、お母さんもどうすることもできない。
この時に、その赤ちゃんは、お母さんの愛情を信じられなくなるんです。
赤ちゃんは、お母さんの愛情のもとに、安心して成長していくのですが、愛情を感じられない赤ちゃんは、びくびくしながら生きていくことになって、臆病になっていく。
それは、見ていて泣きたくなるほど悲しいことです。
だけど、これが自然のルールなんです。
動物の世界では、こんな臆病になった赤ちゃんは、どうしても生きてゆけなくなり、自然に早く死んでいくのです。
ところが、人間の場合は違うんです。
自然のルールをいい加減にして、自分たちの都合だけで、新しい人間だけのルールをつくってしまいました。
そのルールは、平等のルールなんです。
自然のルールがもとの動物の世界では、平等なんて言葉もありません。
ところが、人間の世界だけには、平等のルールができたんです。
お父さんの話だと、それは、人間の世界が、もともと不平等にできているからだそうです。
動物の世界は、さっきのお乳を飲めない赤ちゃんなんか、とても不平等な扱いを受けているように見えるでしょうけど、もし他の赤ちゃんが、自分で一所懸命お乳を飲もうと頑張っているのに、お母さんが、お乳の飲めない赤ちゃんに先に飲ませてあげたら、それこそ不平等になるんです。
動物の世界には、不平等という言葉もないから、そんなことをお母さんは思いも寄らないんです。
それが、本当の平等なんです。
お父さんが、この国の人にひどいお仕置きをしなければならなかったのは、人間の世界にある不平等を一番極端にまでしたのが、この国の御仕置きを受けた人たちなんです。
平等という言葉を悪く利用して、一番不平等をやった人たちなんです。
みなさんは、一番ひどい状態の中で生きているんでしょう?
みなさんの回りやテレビに出ている人たちをよく見たらわかるはずですよ。
平等という言葉を悪く利用して、一番不平等をやっている人たちが、いっぱいいるでしょう。
そういう人たちが、お父さんに、目を背けたくなるような御仕置きをされる人たちなんです。
みなさんは、そんな中に入らないでくださいよ。