第十七話 原爆をつくった人間【時刻:2023年3月17日午前0時45分】

お父さんは、この日本という国が原爆を落とされた唯一の国だということに深い意味があると言っていました。
アメリカが原爆を落とした唯一の国であるということにも深い意味があると言っていました。
原爆を落とされた国と、落とした国。
原爆の本当の恐ろしさを知っている国は、このふたつの国だけなんですって。
いくら原爆実験をやっても、人間の住んでいる所に落とすのとは全然意味が違うのです。
だから、その後一番親しくなったのです。
また親しくならなければなかったのです。
だって、そうならなければ、落とされた国は必ず仕返しをする筈です。
アメリカが原爆を落とした後、日本を軍隊の持たない国にしたのは仕返しが恐かったからなんです。
そして国連で、核保有国という特別の国−常任理事国−をつくったのも、みんな仕返しが恐かったからだそうです。
その後、核保有国以外の国が原爆を持つようになりましたが、もし日本という国が原爆を持つとなると、アメリカは当然、ロシア、中国という国も絶対に許さないでしょう。
だって昔、日本と戦争をしている国だからです。
必ず仕返しをされると思っているのです。
これだけいろいろな面で優れた日本が軍隊を持たないのは、他の世界の国々にとってはありがたいことなのです。
それを、お父さんが強引に、アメリカがつくった日本の憲法を改正させ、軍隊を持たせるようにしたのです。
「昨日まで味方であったもの同士が、今日は敵同士になる。これが人間の持つ悲しい性(さが)だから、永遠に友達なんて有り得ないことなんだ。アメリカやその他の常任理事国は、そのことをよく知っている。だから日本が経済力で強くなっても、強い軍事力を持つことは絶対に容認できないんだ。それは唯一原爆を落とされた国だからなんだ。アラブ世界とイスラエル。インドとパキスタン。キリスト教国とイスラム教国。みんな骨肉の争いをしているが、原爆を落とすことはお互いに絶対出来ないんだ。冬子はそれをよく知っておくんだよ・・・」
そう言えば、みなさんが生きておられる世界で、アメリカとイラクという国が戦争をしているようですが、原爆をお互いに使うことは絶対にないと、お父さんが言ってたのも、そういった理由からなんです。
よく見ておいてください。
冬子の将来の使命に大きく関りのあることなんです。