第一章 「不幸のすすめ」の最大のテーマ

健康は病気のない状態である。
これは誰でも納得します。
なぜなら、
誰もが健康と病気の経験をしているからです。
では、
金持ちは貧乏でない状態である。
これは誰もが納得するとは限りません。
なぜなら、
誰もが金持ちと貧乏の両方を経験しているとは限らないからです。
では、
幸福は不幸でない状態である。
これは誰も納得しないでしょう。
なぜなら、
誰もが幸福でない状態が不幸であると思っているからです。
現代人間社会の殆どの人たちは、こう思っています。
『そんなに多くのお金を欲しいなどと思っていない!』
『生活が困らない程度のお金さえあれば、それで幸せなんだ!』
『お金、お金と言っているのは、一握りの守銭奴だけで、自分たちはそうではない!』
まさに、
貧乏でない状態を求めているだけで、金持ちを求めているのではないというわけです。
まさに、
病気でない状態が健康であるのと同じです。
では、
不幸でない状態が幸福であるとなぜ思わないのでしょうか?
まさに、
幸福が主観性の主体であり、不幸が主観性の客体であるからです。
「不幸のすすめ」の最大のテーマが、この点にあるのです。