第一章 「同等」という言葉

はじめにで述べたように、我々人間は本音と建前の二本立てで生きているが故に、戦争を忌み嫌っていながら、戦争を繰り返し、不条理なことを否定しながら、自ら不条理な行為をし、差別をするなと言いながら差別するようなことを平気でする。
自然社会の生きものが、差別・不条理・戦争などまったく無縁な一生を送っているのは、我々人間のように、本音と建前の二本立てで生きているのではなく、本音一本で生きているからだ。
差別と平等は正反対の言葉である。
不条理と公正は正反対の言葉である。
戦争と平和は正反対の言葉である。
人間社会だけにある言葉は、ほとんどが正反対の意味が対になっている。
人間だけが、本音と建前の二本立ての生き方をしている原因は、この正反対の意味が対になった言葉にある。
自然社会の生きものが、差別・不条理・戦争などまったく無縁な一生を送っているのは、どうやら、正反対の意味が対になった言葉がないからだろう。
つまり、
彼らには、差別の観念も平等の観念もないのだろう。
だから、
差別をしないのである。
彼らには、不条理の観念も公正の観念もないのだろう。
だから、
不条理をしないのである。
彼らには、戦争の観念も平和の観念もないのだろう。
だから、
戦争をしないのである。
そうすると、
差別をするな!と言えば言うほど差別をするらしい。
不条理をするな!と言えば言うほど不条理をするらしい。
戦争をするな!と言えば言うほど戦争をするらしい。
ということが分かってくる。
そうすると、
平等・公正・平和な社会を!
と叫べば叫ぶほど、
差別・不条理・戦争が繰り返されるのが、正反対の意味が対になっている言葉を持っている人間社会であることが分かってくる。
だから、
差別・不条理・戦争という言葉も、平等・公正・平和という言葉も使わずに、同等という一つの意味しか持たない言葉で、いろいろな事象をこれから表現してみたい。