第十八章 もうひとりの自分

顕在意識の自分と潜在意識の自分という二種類の自分がいる。
ところが、
普段、“自分は・・・”と思い込んでいるのは、顕在意識の自分であって、潜在意識の自分は、文字通り、海中に潜ってしまって、“自分は・・・”という意識が無い。
それなら、
いっそのこと潜在意識などと定義せずに、顕在意識だけが自分という意識にしておけばいいはずである。
更に、
個別意識としての顕在意識だけでいいのに、集合意識などと訳のわからない、それこそこれも文字通りの、個別意識の反義語をつけてまで定義するのか?
現に、
“自分は・・・”という意識を、心、想い、魂、精神、霊などと言い換えているだけで、顕在意識の心と潜在意識の心といったふうに使い分けているわけではないし、ましてや、集合意識の心などと使い分けていないのである。
ところが、
(西洋)心理学ともなると、顕在意識、潜在意識、集合意識などと区分けして、ことをますます複雑化している。
一体その理由は?
まさに、
個人と組織の問題がここに関わっているのである。
平たく言えば、
心理学も含めて、学問という学問はすべて組織のためにあって、決して、個人のために誕生したのではない。
そして、
組織のためとは、支配・被支配二層構造社会のひと握りしかいない支配者側のためであって、圧倒的多数を占める被支配者側のための学問など一つもないのである。
現に、
学問のはじまりは、古代ギリシャ時代からであり、当時の学問は為政者だけのもので、一般庶民には無縁の代物だったのである。
現に、
識字率、すなわち、文盲のことの興りは、文字の成立以降、千数百年から数千年の時を経て、成立したアルファベットからであるのがその証左に他ならないのである。
まさに、
文字の成立の目的は、支配・被支配二層構造社会(文明社会)における、ひと握りの数しかいない支配者側の立場を強固にするために編み出した世襲・相続制度を確立する方便としての歴史(学)にとっての強力な武器としてであった。
更に、
圧倒的多数を占める被支配者側の反動を抑え込むために、彼らにも遣える簡略化された文字、すなわち、アルファベッドの発明が為されたのも、支配・被支配二層構造社会(文明社会)と世襲・相続制度を強固にすることが目的だったからである。
まさに、
文字によって、支配・被支配二層構造社会(文明社会)と世襲・相続制度を未来永劫強固にするために編み出されたのが歴史(学)であり、そのための道具として、圧倒的多数を占める被支配者側にも遣える簡略化された文字、すなわち、アルファベッドの発明が為されたのである。
そして、
その背後にある悪意の動機は、支配・被支配二層構造の社会を正当化するために、本音と建前二本立ての考え方を常識にしなければならなかった点にある。
まさに、
もうひとりの本音の自分を隠すためであった。
爾来、
われわれ人間は、本音と建前二本立ての生き方をするようになったのである。