第二百九十一話 悪意の現代人間社会

人間とはそもそも罪深き生きものであると聖書は言っています。
近代を生んだ西欧社会は、聖書を教義にしたキリスト教世界でありますから、人間が罪深き生きものであるという考え方が原点にあります。
旧約聖書を教義にしたユダヤ教、イスラム教も、根本的考え方は、人間はそもそも罪深き生きもの、つまり、性悪説です。
西欧世界が現代社会を支配しているわけですから、現代人間社会は性悪説が基本になっており、その傾向はますます強くなっています。
現代社会の超拝金主義と地球環境問題は、まさに性悪説の生んだ極致だと言えます。
性悪説、つまり、人間の悪意が蔓延しているのが現代社会であり、特に、先進国と言われている国々を中心に展開されている政治・経済・社会面の世界の様相は、まさに悪意そのものです。
例えば、イラク戦争。
表向きは、独裁者フセイン大統領の下の悲劇のイラク国民を解放するためと、アメリカを筆頭に先進諸国はイラクに攻め入ったが、内実は、第二次世界大戦後、石油メジャーから独立していったアラブ諸国の中のイラク・イラン・リビアの石油利権の奪回にあった。
特に、イラン革命によって石油利権を失った石油メジャーが、このままでは、サウジアラビアを中心のアラビア半島(サウジアラビア・クエート・アラブ首長国連邦・オマーン)の石油、つまり、ペルシャ湾の脇下に集中する巨大な埋蔵量の原油もなし崩し的に失いかねない危機感を持ち、経済制裁によってリビアから石油利権を奪回した後、イラク・イランの石油利権奪回のその先陣として、イラクに戦争を仕掛けた。
まさに、正義という表向きのイラク戦争ですが、その裏には悪意の下のイラク戦争でもあるわけです。
需要供給のバランスは崩れていないのに暴騰を続ける原油価格。
ガソリン価格暴騰の所為で世界の一般消費者は大きな打撃を蒙っている一方で、石油メジャーや産油国は天文学的な利益をあげ、石油の商いをする卸売業者、小売業者(ガソリンスタンド等)も、利益のおこぼれを頂戴している。
この状況は、生きもの経済の産物では決してなく、一部の人間による悪意経済の仕業以外の何者でもない。
現代人間社会は、すべての面において、人間の持つ善意を虚仮にした、悪意に基づく最悪の様相を呈しているのです。
もういい加減、ひとり一人の人間がこのことに気づかなければ、人類のみならず、地球上の全生命体が絶滅することになるのです。