第二百十九話 どぶねずみ化のバロメーター(4)

あなたは、「映像の世界」に自己同化していませんか?
それなら、あなたはまさしく、どぶねずみ人間です。
「映像の世界」とは、「映画の世界」、「夢の世界」のことです。
このタイプの人は、映画を観て、感情移入する、つまり、自己同化する。
映画に出演した積もりで一喜一憂するタイプで、こういう人は、夜眠っている間に観る夢の中でも出演していると錯覚している。
夢も映画と同じで、自分は鑑賞者であって、出演者でないのに、恰も、出演している積もりで、夢の中の出来事に一喜一憂している。
夢は飽くまで実現不可能な「見果てぬ夢(Impossible dream)」であることを自覚していないのです。
夢の中の出来事を達成したことなど一度もなく、達成しそうになると目が覚めるのは、鑑賞者が映画の中の出来事に何も出来ないことを証明しているのです。
映画館で観る映画は、自分は鑑賞者であって、出演者ではないことは歴然としているわけですが、夢の中では、自分が主人公だと信じきっているわけです。
だから、夢を観ている真最中は、夢を夢だと思えず、夢を現実だと信じ、一喜一憂しているわけです。
映画館で観る映画も、眠っている中で観る夢も、実はまったく同じ映像なわけで、自分は鑑賞者に過ぎないのです。
ところが、「映像の世界」に自己同化しているタイプの人は、そのことに気づいていないのです。
映画館で観る映画も、眠っている中で観る夢も、昼間目が覚めている間の、いわゆる、目の前に展開されている現実も、実は、「映像の世界」であり、自分は「映像の世界」にいるのではなく、飽くまでも、鑑賞者であることを理解していないのです。
わたしたち人間の99.9999%が、この「映像の世界」に自己同化しています。
「映像の世界」に自己同化していない人は、眠っている真最中に観る夢を夢だと自覚しています。
朝目が覚めてはじめて夢だと気づく人は、「映像の世界」に自己同化している、どぶねずみ人間です。