第七十六話 元凶は大人の人間

睡眠とは熟睡している間の睡眠だけであり、本来は必要無いもの、つまり、必要悪のものです。
ある時からその後の一生をまったく眠らずに生きたアメリカ人の話をしましたが、よくよく考えてみれば、このアメリカ人だけではなく、わたしたち人間はみんな、ある時からその後の一生をまったく眠らずに生きているのです。
熟睡している間の睡眠で眠ったような錯覚をしているだけで、更には、夢を見ている間の睡眠まで眠ったような錯覚をしている、更に悪いことには、目が覚めた状態でも眠ったような錯覚をしている。
子供の頃だけ、完全な熟睡をしている時期がある。
このアメリカ人がある時から眠らない一生になった、そのある時とは、子供から大人になった時期のことに外ならない。
子供から大人になるのは、肉体年齢だけで決まるのではない証明です。
本当の子供、つまり、純真無垢な子供の定義は、肉体年齢ではなく、完全な熟睡を採っているかどうかに掛かっているのです。
つまり、時間の経過感覚(間覚)を持つようになると、子供ではなく大人になっているのです。
ではなぜ、本当の子供、純真無垢な子供だけが、完全な熟睡を採ることができるのでしょうか。
彼にとって睡眠が必要なのは肉体が疲れているからで、『自分は・・・』と思う自我意識、つまり、エゴである「魂」、「心」、「精神」、「霊」といった「想い」は疲れていないからです。
言い換えれば、彼には『自分は・・・』と思う自我意識、つまり、エゴである「魂」、「心」、「精神」、「霊」といった「想い」は無いからで、一方、肉体は完全に疲れるまで動いているから睡眠が必要となり、完全な熟睡を採ることができるのです。
わたしたち大人の人間が、少し睡眠不足になるだけで心身ともに調子が悪くなるのは、如何に無駄な錯覚を多くしているかの証明に外ならないのです。
本当の子供、純真無垢な子供は、他の生き物と同様に悟っているのです。
悟っていないのは、わたしたち大人の人間だけです。