第二章 イナゴの大群の辿り着く先

大群を成す生きものにある共通した特性とは、完全な自己完結ができない点である。
言い換えれば、
大群を成す生きものは、独りで生きてゆけないのである。
要するに、
大群を成す生きものは、依存心がある。
では、
依存心の正体とは一体何者なのか?
まさに、
依存心とは他者依存心に他ならないのである。
逆に言えば、
依存心(他者依存心)があるとは、自己依存心がないからである。
言い換えれば、
依存心(他者依存心)があるとは、自信がないことに他ならないのである。
従って、
大群を成すいっぴき一匹のイナゴは、みんな自信がない集団なのであり、彼らの辿り着く先は、断崖絶壁から墜落するだけである。

(どぶイナゴの暴走)

いちばん うしろから ついていく どぶイナゴが 前のに 訊ねた

一体どこに向かって走っているのだろう

前のどぶイナゴは 前が 走っているから ただ ついて行くだけ と言った

だけど、気になるので その前の どぶイナゴに 訊ねた

一体どこに向かって走っているのだろう

その前のどぶイナゴも おなじ 返事をしたが 気になった

そして 前のどぶイナゴに 訊ねた

一体どこに向かって走っているのだろう

とうとう 一番前のどぶイナゴのところまできた

一体どこに向かって走っているのだろう

先頭を走るどぶイナゴは だれにも 訊ねることができない

うしろからついてくるから ただ 走っているだけ と答えた

その答えが 一番うしろのどぶイナゴに 伝わった

そりゃあー ないだろう と言った 途端

前の どぶイナゴたちは 断崖から まっさかさま

ただ 一匹 そのどぶイナゴは 呆然と立ちつくして

ああ 一番うしろでよかった


(参考)心の旅の案内書 〜 罪と罰